○議会基本条例 島根県松江市
1.制定までの経緯
・平成19年12月、議会改革特別委員会を設置。議論を開始。
定数、費用弁償、議会活性化についての議論を、議長から会派代表者会に
諮る形でスタート。
16項目の課題が挙げられたが、その中の一つに議会基本条例があった。
小委員会で検討。7回の開催を経て立案。
条例というカタチにこだわるよりも実質の活性化を、との意見もあった。
・平成20年12月、制定。
同年11月に原案が確定。その後パブリックコメント、公民館、町内会連合
会で説明会。市民からの意見を求める作業を経て12月議会で成立。
2.松江市の基本条例の特色
・「議員相互間の自由な討議を重んじる」(3条)
自由討議については京丹後市の先進事例を参考。討議もHPに掲載されて
いる。
どういうことを討議すべきなのか試行錯誤しながら、常任委員会で行って
いる。理事者説明→質疑→自由討議→討論→採決、の流れ。
自由討議になじまないものもある。委員長が討議をするかどうかを決める、
またはその場で協議するなど、まだ固まっていない。
・市民参加(6条)
公聴会制度、参考人制度を活用。参考人には1日9000円の日当。まだ使っ
たことはない(視察時点)。
請願者、陳情者の意見を聴くことができる。説明したい旨であれは来てい
ただく。
・議会報告会(7条)
今回の視察期日の直後、1/21から2/13までの間、市内28地区で開催。
・反問(8条)
伊賀市、栗山町の例を参考にした。実際の使用は、質問者に対して理事者
が質問の意図を確かめることに用いている。
・附属機関の設置(15条)
法制上は執行部側にしか認められていないが、三重県議会に例がある。
実際には三重県議会にも松江市議会にも設置の例はない。
・調査機関の設置(16条)
三重県議会に例がある。同県議会には実際に設置。松江には現在は未設置。
・議会図書室を市民も利用(18条)
・定時に見直し手続(21条)
1年に1回、この条例の目的が達成されているかどうかを検討すると明記。
3. 議会報告会の概要
・開催は地区別。議員6〜7人で編成する班を5班。
各常任委員会から1名、会派も均等、期数も考慮するよう努める。
各班に代表者、報告者、記録者を定める。
報告内容を会派代表者会で決める「班会」。
任期は常任委員会に合わせ、2年。
事務局職員も班に1人、補助者として付く。マイク、写真、レコーダー係。
・市内公民館区28地区で開催。当面、1地区年1回開催する。ひとつの班が
年間5〜6地区を担当。
・報告会の組み立て
@議会報告
○議会活動報告40分 議会のしくみ、議会基本条例説明、定例会報告
→説明資料は30ページ。盛りだくさん。
○質疑応答 20分
A市政・議会運営に関する意見交換
・報告書は議会ホームページで公表
・その他
○「陳情や請願もできますよ」とお知らせもする。
○「留意事項」として、「個人的な見解」とお断りしてから私見を言う。
○「市への要望は市にしてください」と、対応マニュアルで決める。
4.感想
質疑の中で議会基本条例から外れて、同市で平成17年から始めたという「一問一答制」についてお聞きしました。
始めは戸惑いもあったが、段々に慣れてきた。当初、1人当たりの質問時間は年間60分、とされていたが、今は70分となっている、とのことでした。
ケーブルテレビで見守る市民からの評価も「わかりやすい」と好評とのことでした。
このことからもわかるように、「市民に言われてからやる」という姿勢から脱却し、市民の先を行く政治家らしく、「言われなくても先にやる」のでなければならないと思います。
議会基本条例はすでに全国的な潮流となっており、内容について各自治体の特色が分類・評価される段階になりました。この報告をまとめている段階で、昨年制定を見た観音寺市が、その条例に基づく議会報告会を先ごろ開催したところです。私も参加させていただきましたが、しっかりした進行ができたからでしょうが、混乱紛糾もなく、定刻に粛々と催しを終えました。会場からもたくさんの手が挙がり、4人の方がマイクを取りました。「議員は全員が坂本龍馬になって国をもリードする存在に」という、すばらしい声もありました。
市民の負託に応える、というよりリーダーならば当然先が見えていなければならない、その、未来に見える議会像を考えるならば、議会基本条例の制定は、せめてその可否を議論するステージは、なくて通過できない状況にあろうと思います。
同僚議員との情報交換を強く進めて、一日も早く、丸亀市議会でも着手できるよう、対話を進めてまいります。